個人型確定拠出年金(iDeCo)と小規模企業共済のすすめ

個人事業主を開業するにあたり、多くのサイト等で個人型確定拠出年金(iDeCo)と小規模企業共済の加入が勧められています。
私は2015年に開業したのですが、売上額を上げることを優先していたため節税効果は後回しにしており、上記は8年ほど未加入のままでした。
結果として売上額アップや取引先を増やすということは実現できたのですが、納税についてはうまく節税出来ていない状況が続いていました。

2023年、開業9年目にしてiDeCoと小規模企業共済を始めたところ大きな節税効果を得ることができましたので、実体験を元に以下で大まかに解説します。
今後フリーランスとしての独立を検討している方や、現役フリーランスの方の節税情報として参考になれば幸いです。

小規模企業共済

国の機関である中小機構が運営しており、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度です。
月々の掛金は1,000~70,000円まで500円単位で設定が可能で、加入後も増額・減額が可能です。
確定申告の際、掛金は全額が所得控除対象(社会保険料控除)となります。
個人事業主の受取タイミングは、廃業時、契約者が亡くなった場合、任意解約時、等となります。
詳細は公式サイトよりご確認ください。

個人型確定拠出年金(iDeCo)

私的年金制度の一つであり、掛金の設定、運用商品の選定は自身で行います。
個人事業主の場合、月々の掛金は5,000~68,000円まで1,000円単位で設定が可能で、加入後も増額・減額が可能です。
運用商品は投資信託、定期預金など色々なジャンルから選ぶことができ、加入後の変更も可能です。
確定申告の際、掛金は全額が所得控除対象(社会保険料控除)となります。
20歳以上65歳未満が加入でき、原則として60歳になるまでは受給できません。
詳細は公式サイトよりご確認ください。

メリット

小規模企業共済とiDeCoの最大のメリットは、大きな節税効果が見込める、ということだと個人的には捉えています。
個人事業主の場合の年間最大掛金は、小規模企業共済は7万円×12ヶ月の84万円、iDeCoは6.8万円×12ヶ月の81.6万円となるため、合計で165.6万円を所得から控除することができます。
また、iDeCoについては、運用結果がプラス収支となった場合、利益が非課税であることもメリットの一つと言えるでしょう。
ほかのメリットについては、それぞれの公式サイト等よりご確認ください。

デメリット

小規模企業共済とiDeCoそれぞれのデメリットは、

小規模企業共済
・加入期間が12か月未満で任意解約すると掛け捨てとなる
・掛金納付月数が20年未満で任意解約をした場合、掛金合計額を下回る(元本割れ)
・受取時に課税される(退職所得または雑所得)
iDeCo
・運用結果がマイナス収支となった場合、受給額が掛金を下回る可能性がある
・原則として途中解約は不可で、60歳になるまでは引き出せない

などが挙げられますが、掛金の調整や安定度の高い商品の選択(iDeCoの場合)などの対策を取ることで、これらのデメリットを軽減することも可能です。

シミュレーション

仮に、売上600万、経費150万、社会保険料控除40万の青色申告で納税額(年額)を試算すると、結果は以下の金額となります(概算)。

内容 金額
所得税額 204,000
住民税額 307,000
国民健康保険料 369,000
合計 880,000

では、売上、経費、社会保険料控除を前ケースと同じ金額とし、更に小規模企業共済とiDeCoを最大枠(165.6万円)まで利用した場合を見てみましょう。

内容 金額
所得税額 67,000
住民税額 141,000
国民健康保険料 369,000
合計 577,000

結果としては年額が577,000となり、年間約30万円程の節税効果が得られることがわかります。
今回は例として、売上や経費等の金額は適当な数字かつ掛金は最大というケースで試算しましたが、各種シミュレーションサイト等を利用して、実際の納税予定額や節税効果を把握しておくことをお勧めします。
今回使用したシミュレーションサイトはこちら:【弥生】個人事業主のかんたん税金計算シミュレーション

まとめ

売上額や経費、月々の余剰金については人それぞれだと思いますが、月々の余剰金をなんとなく口座に積み上げている方には、iDeCoあるいは小規模企業共済の利用を強くおすすめします。
メリット、デメリットはそれぞれありますが、将来的な資産形成と毎年の節税効果等を考えると、結果的に メリット > デメリット になると個人的には捉えています。
掛金はひとまず余剰金の中で賄える分を設定しておき、業績に変化があれば都度掛金を見直す癖を付けておくとよいでしょう。
どちらか片方を利用するのであれば、個人的にはiDeCoをお勧めします。


以上が個人型確定拠出年金(iDeCo)と小規模企業共済のすすめとなります。

ご購読ありがとうございました。